近接スイッチ(センサー)について

近接スイッチ(センサー)とは

近接スイッチとは、検出する対象物へ接触することなく、対象物の接近または有無を検出するスイッチです。特徴としては、対象物へ接触させる必要がないため、機械的なスイッチに比べて長寿命といえます。JIS規格では「可動部による機械的接触なしに動作する位置検出スイッチ」と定義されています。(規格:JIS C 8201-5-2 (対応国際規格:IEC 60947-5-2/IDT a))

近接スイッチは動作方法によって以下の4つに分類されます。

・誘導形及び静電容量形近接スイッチ
JIS規格にて「電磁界又は電界の中において、検出面から放出されたエネルギーを吸収又は変化させる検出体の有無で出力信号を決定する。」と定義されており、金属及び/又は非金属物体の存在を検出します。誘導形近接スイッチは高周波磁界の減衰を検知し、静電容量形近接スイッチは電界の増幅を検知します。
誘導形近接スイッチ
静電容量形近接スイッチ
・超音波形近接スイッチ
JIS規格にて「検出領域内において検出面から放射された超音波エネルギーを反射する検出体の有無で、出力信号を決定する。」と定義されており、音響反射物体の存在を検出します。発信部と受信部が一体型のものと分離型のものがあります。反射板を設置して、検出体が遮った場合の送信波と反射波の時間差を検出するものもあります。

超音波形近接スイッチ
・光電形近接スイッチ
JIS規格にて「投光器から放射された可視光線又は不可視光線を反射又は遮る検出体の有無で、出力信号を決定する。」と定義されており、光線を遮る物体の存在を検出します。投光部と受光部が一体型のものと分離型のものがあります。

光電形近接スイッチ
・磁気形近接スイッチ
JIS規格にて「検出領域内で磁界の変化を生じる物体の有無によって、出力信号を決定する。」と定義されており、磁界によって物体の存在を検出します。
以下に磁気形近接スイッチについて詳しく解説いたします。

磁気形近接スイッチ

磁気形近接スイッチ(センサー)の定義

対象物へ接触することなく、検出領域内で磁界の変化を生じる物体の有無によって、信号を出力するものを磁気形近接スイッチと呼びます。内蔵する検出部には、メカニカルな接点を有するリードスイッチや、ホール効果を用いたホール素子、電気抵抗値が変動する磁気抵抗素子が用いられます。弊社の取り扱う磁気形近接スイッチの検出部には、弊社独自の構造をもつ安川パワーリードスイッチ(ベスタクト)を採用しております。

磁気形近接スイッチ(センサー)の動作原理

スイッチに対してマグネットが近づくことで、スイッチ内部のリードスイッチが磁気に反応します。下図のとおり、マグネットの接近により接点が動作します。その反対にマグネットの離隔によりスイッチに加わる磁気が弱まり、接点が復帰します。
磁気による接点の動き

またスイッチにはa接点(ノーマリーオープンタイプ / NOタイプ)とb接点(ノーマリークローズタイプ / NCタイプ)があります。a接点は通常時はOFF状態で検出体の接近(磁界の変化)によりON状態に切り替わります。接点の通電と断線状態は上図の通りになります。b接点は通常時はON状態で検出体の接近(磁界の変化)によりOFF状態に切り替わります。接点の通電と断線状態は上図の逆になります。

磁気形近接スイッチ(センサー)の種類と使い方

磁気形近接スイッチを大きく分けると、ベーン型で代表されるスイッチとマグネットが一体となっているタイプと、分離しているタイプの2つの種類があります。

・スイッチとマグネットが一体となっているタイプ(ベーン型)
コの字型になった溝の部分に平板状の検出体(強磁性体:鉄板など)が通過することでスイッチングします。溝を挟む形で配置されたマグネットとリードスイッチの間に検出体が侵入することで、形成されている磁路を遮蔽し、検知しています。前述の通り、スイッチがb接点の場合、検出体の接近により起こる以下のリードスイッチの通電/断線状態は逆になります。

ベーン型動作

・スイッチとマグネットが分離しているタイプ(セパレート型、円柱型、メモリー型)
スイッチを固定し、移動体にマグネット取り付けます。スイッチにマグネットが接近、あるいは通過することでスイッチングします。スイッチとマグネットが分離したタイプには下図のようなセパレート型や、スイッチが円柱状の円柱型、マグネット通過後にスイッチがON状態を保持するメモリー型もあります。動作原理は同じですが、マグネットの通過方向は製品によって指定があります。前述の通り、スイッチがb接点の場合、検出体の接近により起こる以下のリードスイッチの通電/断線状態は逆になります。

セパレート型動作

磁気形近接スイッチ(センサー)の選び方

設置環境に適した磁気形近接スイッチを選ぶ上で確認しておきたい性能には主に、検出距離(感応距離)、電気的仕様、対応周囲温度があります。

・検出距離(感応距離)とは、スイッチの検出面とマグネットの任意の面との距離を指します。マグネットの大小が磁気の強弱に関係するため、検出距離(感応距離)を満たすスイッチとマグネットのセットを選定する必要があります。また、スイッチの動作点と復帰点の差である応差(ヒステリシス)が存在します。そのため製品仕様の動作特性に表わされる検出距離を確認する必要があります。

・電気的仕様は、内蔵されている接点性能によって左右されます。定格使用電流を確認の上、スイッチを選定します。
ここでは前述した安川パワーリードスイッチ(ベスタクト)の接点性能をご紹介します。

接点性能
ベスタクト素子の種類R25R15備考
定格使用電流AC220V 0.5A220V 1A誘導負荷(50/60Hz)
DC110V 0.3A110V 0.5A , 220V 0.2A誘導負荷(R25:L/R=40ms R15:L/R=100ms)

・対応周囲温度とは、スイッチが問題なく動作できる温度範囲を指します。スイッチとマグネットに充填される樹脂や、それぞれを覆うケースの対応温度により左右されされます。弊社の取り扱う高温用スイッチは130℃まで対応しております。

弊社の取り扱う磁気形近接スイッチの検出部には長寿命で高信頼性の安川パワーリードスイッチ(ベスタクト)を採用しております。確実なスイッチングと、交換頻度を減らすことによるランニングコストの低減で、エレベータや鉄鋼をはじめとした様々な市場で活躍しております。40年以上選ばれ続けるベスタクト内蔵の磁気形近接スイッチをぜひお試しください。
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