よくあるご質問:ハイパワーリードスイッチ


用語について

ワイピングとは?

動作時および復帰時に、接点部接触から磁気接極部接触まで接点チップが接点部を摺動することで、接点部のクリーニングを行う機能です。

ハンマリングとは?

復帰時にもどしばね力とてこの原理により、瞬間的に接点チップをはじき飛ばす機能です。接点部の乖離を速め、遮断による接点部の消耗を軽減します。

ツイン接点とは?

ベスタクト接点は接点部と磁気接極部の2箇所で電気的に接触通電するため、微小負荷に対し接触不良を起こしにくくなっています。

バックストップとは?

もどしばねの力で接点チップ(頭部)をガラス管に押し付けています。コイルへの励磁が無い状態での耐振動性及び耐衝撃性を高めます。

電磁バルブ(電磁弁)とは?

ソレノイドと呼ばれる円柱状に導線を巻いたコイル中にプランジャと呼ぶ可動鉄片を置き、コイルに電流を流すことでプランジャを動作させ、その動きでバルブ(弁)を開閉する装置です。

リードスイッチとは?

ガラス管内の不活性ガス中に2本の磁性体リードを封入し、外部磁界により磁性体リードの電気接点を入切するスイッチです。

磁気接極部(マグネット接極部)とは?

リードスイッチに印加した際に流れる磁気の通り道です。一般リードスイッチは磁気接極部と通電部が共通化されているのに対して、ベスタクトはそれぞれを分離することにより動作の安定化を図っています。

接点部とは?

リードスイッチに印加した際に流れる電気の通り道です。誘導負荷の遮断時にグロー放電の形成を促すため、ベスタクト接点では磁気接極部とは別に接点部を設けています。動作時は接点部から接触を開始し、復帰時は接点部が最後に電気回路を離隔します。

グロー放電とは?

ガラス管内で遮断する際に発生する放電の種類です。一般のリードスイッチは負荷を遮断する際、アーク放電が発生するため、接点の消耗が大きい傾向にあります。一方、ベスタクトはグロー放電による遮断のため遮断時間が短く、接点の消耗も少ないため長寿命です。

不活性ガスとは?

化学的に安定で、他の元素等と容易に反応しないガスです。

バック圧力とは?

もどしバネの復元力により、接点チップ(頭部)をガラス管に押し当てている力です。

接点初圧とは?

動作時に磁気接極部が接触する直前の、接点部のみが接触した瞬間の接点部が受ける力です。この値は接点部のバネともどしバネの復元力の差となります。

接点終圧とは?

接点部および磁気接極部の完全閉止時における接点部が受ける力です。

定格電圧とは?

絶縁設計の基準となる電圧で、長期間使用しても耐電圧不良を起こさない最大の動作電圧です。絶縁性能の指標となる耐電圧とは値が異なります。

定格電流とは?

定格電圧の下において規定の負荷と開閉頻度で使用し、規定の電気的開閉耐久性が期待できる最大電流値です。

誘導負荷とは?

モータ・トランス・ソレノイドなどのコイルが使用されている負荷の総称で、回路中に誘導負荷がある回路では、遮断時に高い逆誘導起電圧が発生し、接点部はアーク放電によって消耗が大きくなります。

時定数(L/R)とは?

誘導負荷を直流電源に接続すると一定の傾きで電流が増加し、その後傾きは緩やかになり最終的に飽和します。時定数とは飽和電圧の63.2%に達するまでの時間で定義され、飽和状態に達する時間の指標となります。誘導負荷の抵抗値をR[Ω]、リアクタンスをL[H]としたとき、時定数τ[s]はL/Rで計算されます。

力率(cosφ)とは?

交流電源に誘導負荷を接続すると電源電圧波形に対し遅れた位相で電流が流れます。この位相差θの余弦cosθを力率と呼び、負荷で消費される電力は電圧(実効値)×電流(実効値)×cosθとなります。電源周波数をf[Hz]、誘導負荷の抵抗値をR[Ω]、リアクタンスをL[H]としたとき、cosθ=R/√{r^2+(2πfL)^2}で計算されます。

最小適用負荷とは?

電圧DC5Vにおいて、所定の接触信頼性(5×10の-8乗/回レベル)が保証できる電流の最小値を示します。

故障率とは?

接点の故障する頻度を表す指標で、一般のシステムや機器や部品は単位時間あたりの故障数で表しますが、接点の故障発生は動作時間よりも主に動作回数に因るため(/回)で表します。

λ₆₀とは?

信頼性水準60%を指し、真の故障率が示された故障率に対して確からしさ60%で存在することを表します。

Fitとは?

Fitは1時間あたりの故障率を指します。一般的にリードスイッチの故障率は動作回数で規定しています。

絶縁抵抗とは?

導体相互間あるいは導体と大地間の絶縁性能を表す指標で単位はΩです。リレーの場合は接点間・対アース間・接点極相互間の3種類があります。

メガーとは?

絶縁抵抗計の一般名で装置がどの程度絶縁抵抗を有しているかを測定するための計測器です。

初期接触抵抗とは?

出荷時における接触抵抗です。

感動値とは?

弊社カタログにおける感動値は、テストコイル中で接点が動作したときに流した電流値とコイル巻数の積です。

開放値とは?

弊社カタログにおける開放値は、テストコイル中で接点が動作したときに流した電流値とコイル巻数の積です。

テストコイルとは?

弊社カタログにおける接点特性測定のための標準コイルです。線径0.2mmで巻数3000回、コイル内径10.5mmで長さ33.5mmです。

動作時間とは?

弊社カタログにおける動作時間は、テストコイル中で接点が感動値の150%を励磁してから接点が動作するまでの時間を指します。

復帰時間とは?

弊社カタログにおける復帰時間は、フライホイルダイオードが接続されたテストコイル中で接点が感動値の150%を励磁後に、励磁を解除した時に接点が復帰するまでの時間を指します。
※フライホイルダイオードは機器を保護するために接続します。誘導負荷の逆起電力による影響を抑えられる反面、遮断時間が数ms長くなります。

バウンスとは?

接点動作後に接点の持つ運動エネルギーにより接点部が微細に衝突し、ON-OFFを繰り返す現象です。

フライホイルダイオードとは?

コイルなどの誘導負荷は、通電中にコイルのリアクタンス分と電流値の2乗に比例するエネルギーを蓄えており、電流の遮断時にこのエネルギーを放出するため逆起電力が発生します。コイルと並列にダイオードを挿入し、エネルギーをコイルの抵抗分とダイオードで消費する方法が用いられ、これをフライホイルダイオード(還流ダイオード)と呼びます。誘導負荷の逆起電力による影響を抑えられる反面、遮断時間が長くなるという欠点もあります。

使い方について


どの程度の外部磁界ならば問題ないか?対処する方法はあるのか?

お客様で使用される環境で評価を行い、実機で問題ないことをご確認の上、ご使用ください。

なぜベスタクトは設置方向が制限されるのか?

磁気接極部の摩耗粉が接点部にかみこむと接触抵抗が一時的に増大することがあります。このため磁気接極部の直下に接点部が来ない取付け位置を推奨しています。

切断長と感動値・開放値の変化率はどの程度か?

両側10mmの切断で感動値はおよそ10~20%、開放値はおよそ20~30%増加しますが、量産における切断長を決める際は実際に端子を切断し影響度を評価する必要があります。

永久磁石の長軸方向駆動はなぜ注意が必要になるのか?

ベスタクト接点には一般リードスイッチと異なる補助磁気ギャップの影響で、永久磁石の特性によりON領域の途中でOFF動作することがあり、長軸方向駆動を推奨していません。

仕様について

ベスタクト接点はなぜ極性があるのか?

ベスタクト接点の極性指定は大きく二つの理由があります。一つは一般リードスイッチとは異なり、誘導負荷遮断時にグロー放電が発生しやすい構造としているためです。もう一つは接点転移を防ぐ目的で陰極と陽極に異種金属材料を適用しているためです。

逆極性で使用した場合どうなるのか?

誘導負荷を逆極性で遮断した時は放電がグロー放電からアーク放電へ変わります。アーク放電はエネルギーが大きく遮断時間が長い傾向にあるため、接点が局所的に消耗し、製品寿命を満足出来なくなります。

高周波回路にも使えるのか?

シミュレーション結果より100MHzまでは問題無く使用できると考えています。ただし適用する際には実使用回路での評価をお願いしております。

接点による遮断・投入等は行わず電流経路として通電した際に、接点の耐量はどの程度か?

BRE-13153Aの最大通電電流は13A、BRG-07100Aの最大通電電流は10Aです。

通電電流の仕様値における試験条件は?

試験条件はガラス管封着部の温度上昇が125℃以下になることとしています。

ベスタクト接点の耐インパルスノイズ性能は?

インパルス波形1.2/50μs正負各3回印加時のノイズ耐量は素子により異なり、BRE-13153AとBRG-07100Aは接点間2500Vです。

ベスタクト接点の雷サージ耐力は?

作用時間:1.2×50μsの雷サージ耐力は製品により異なり、BRE-13153AとBRG-07100Aは接点間2500Vです。

投入時のバウンスはどの程度か?

BRE-13153A、BRG-07100Aはおよそ1.0msです。

接点間ギャップの距離は?

基準値はBRE-13153Aが0.5mm、BRG-07100Aが0.2mmです。

誘導負荷による逆起電圧による溶着などの影響は無いのか?

誘導負荷による逆起電圧の影響を加味した上での仕様となっております。

補助磁気ギャップの役割は?

ベスタクト接点はもどしバネにより接点がOFFの時、振動や衝撃に対して安定なように接点チップ(頭部)をガラス管に押し付けています。もどしバネの可動域を大きく取るため、可動側は2部品に分かれており、2部品間の空隙を磁束が十分通るように、形状を工夫してあります。

ベスタクト接点の中に銅は含まれるか?それはどの部材に含まれるか?

接点材にAgCuOとして、端子メッキにEp-Fe/Cu2Sn3として銅が含まれます。

ツイン接点構造で磁気回路と電気回路に分けている理由は?

ベスタクトは磁気接極部と接点部を分離することで、接点部は大容量開閉に適した材質・接点間距離が大きいバネ構造、磁気接極部は閉路時の衝撃に耐える耐摩耗性の優れた材質を使用しています。

磁気回路に電流は流れるか?

構造上、磁気接極部にも電流は流れます。磁気接極部にも電流が流れることにより接触信頼性向上に寄与しています。

時定数10ms,40ms,100msとは具体的にどのような機器か?

時定数10msはメカニカルリレー、40msは小形直流コンタクタやパワーリレー、100msは電磁バルブやソレノイド、小形のクラッチ・ブレーキが相当します。

L/R=100msより大きい誘導負荷でも開閉できるのか?

時定数が仕様値(BRE-13153Aは100ms,BRG-07100Aは40ms)を越えるとアーク放電が発生して遮断時間が長くなり、接点の消耗は激しくなります。その際も負荷と並列にバリスタなどの耐ノイズ部品を追加して対応可能な場合もありますのでご相談ください。

ベスタクトと一般リードスイッチの違い

独自の接点構造により定格電流や電気的寿命にて圧倒的な優位性があります。

ベスタクトリレーと他社リレーの違い

ベスタクトはグロー放電による遮断のため遮断時間が短く、接点の消耗も少ないため長寿命です。

ベスタクトの定格・仕様

ハイパワーリードスイッチ:ベスタクトの詳細仕様についてご紹介いたします。

動作時と復帰時のメカニズム

動作時および復帰時にバネの力を利用し、耐振動・耐衝撃の構造となっています。

ベスタクトの駆動方法

駆動方法は「電磁コイル」と「永久磁石」があります。

ベスタクトが使用されている場所

高信頼性、長寿命等の特徴を生かし、様々な生活インフラや産業用設備にご採用いただいております。

よくあるご質問

ハイパワーリードスイッチ:ベスタクトの用語、使い方、仕様についてよくあるご質問にお答えいたします。